ダニの話
最近、室内塵の中に生息するダニの数が増え続けていると言われています。ダニは喘息の原因となる厄介者です。ダニが増え続けている原因は、生活様式の変化です。戦後、日本の住宅は木造住宅からコンクリート住宅、プレハブ住宅へ移行しました。それに連れてアルミサッシやビニール材なども普及し、住宅の気密性が向上しました。昔の木造住宅には適度に空気の流れがありましたが、現在では住宅の気密性が向上した代わりに空気の流れが悪くなり、部屋の片隅など局部的に湿度が高くなる場所が生じることにがあります。又、暖房設備や家庭内の電気製品の普及などがダニの生息しやすい高温多湿の条件を作り出しました。生活が洋風化して使われるようになったカーペットなどの敷物も、ダニにとっては住みやすい場所となったのです。核家族化や共働き家族が多くなったこともダニが増える原因のひとつと考えられています。家を締め切っている時間が多くなり、室内の換気をする機会が少なくなった事も原因です。天気の良い日には家の前の道路に畳を並べて虫干しするような風景も今では見られません。室内に生息するダニの数は30年前に比べて今は2.5倍以上にも増えています。現在地球上で知られるダニの種類は約5万種類と言われています。雪と氷の世界を除き、地球上のいたるところにダニは見られます。最近、特に問題になっているのが、室内に生息するダニです。住居内のゴミ、すなわち室内塵の中で繁殖するダニが増え、喘息などの原因になるからです。室内塵は食べ物のカス、人のふけ、その他様々な室内塵が室内の片隅に落ちているダニの餌になるのです。室内ゴミの中には100種類以上のダニが見出されていますが、その中でも特に生息数の多いのがヨーロッパ室内塵ダニと呼ばれるヤケヒョウダニとアメリカ室内塵ダニという名を持つコナヒョウダニです。これらの室内塵中のダニが喘息などの原因となります。室内塵ダニが気管支喘息の原因抗原物質(アレルゲン)であることは、30年ほど前にオランダの医師によって指摘されました。日本の気管支喘息患者の実に50%~90%はダニが原因です。住居内にダニが増え、そのダニに死骸やフンは軽いので人が室内を歩くときに空気中に舞い上がり、鼻から吸引されて喘息が起こります。小児喘息の多数がダニによるものです。そればかりではありません。最近増え続けている鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にもダニが関係していると言われています。喘息などの原因となる室内で増え続けるダニをどうやって防ぐかは大きな問題です。効き目の強い合成殺ダニ剤も市販されています。しかし室内で使うには、合成品では安全性の問題があります。特になんでも口にしてしまう小さな子供がいる家庭ではなおさらです。そこで、比較的安全性の高い植物から殺ダニ作用やダニの繁殖を抑えるような成分を取り出して利用しようとする試みがなされています。植物からの発掘が積極的に進められていますが、木の成分にもそのような働きがあり、最近では木の「におい成分」の殺ダニ作用が見出されています。
ヒバ材、タイワンヒノキ材の「におい成分」、いわゆる精油成分には、室内ダニに対して強い殺ダニ作用があることがわかっています。ヒバ材には0.2%タイワンヒノキ材には0.1%の濃度で、室内ダニの繁殖を抑える働きがあります。用材としてよく用いられるヒノキ、米ヒバ、米スギ、アカマツなどの「におい」にも強い殺ダニ作用があります。これらの事から、内装材、特に床材を木にすることがダニの繁殖を防ぐ事において多いに有効であるといえます。
ヒバ材やアカマツ材の無垢の床材でリフォームするとダニの繁殖を抑えることができます。